当日券は15:00より販売いたします。
主催公演
レクチャーコンサート
伊東信宏 企画・構成 レクチャーコンサート
声のような音/音のような声 三輪眞弘作品集
2016 12/25(日)
16:00開演
現代音楽の鬼才の軌跡、論理とユーモアが錯綜する奇跡の作品集!
三輪眞弘さんは、日本を知らない誰かに、その作品について熱心に話したくなる数少ない作曲家の一人です。奇妙なルールで進行してゆく儀礼のような音楽。日本より東に島国があったら、こんな民俗音楽があったに違いない、という人を喰った設定で書かれた架空の民俗音楽。でも、そこではいつも「ひねり」と真剣さが同居していて、ああ三輪作品だなあ、と思わせられます。
また三輪さんのもうひとつの活動の軸は、佐近田展康氏と展開している「フォルマント兄弟」というユニットです。彼らの活動は、MIDIキーボードを使って、合成音をその場でコントロールして、歌声として発音させる、というものです。ここには、ヴォーカロイドが席巻している現代の音楽の世界にあって、音楽家に何ができるか、何を考えるべきか、が示されています。
私(伊東)は、かつて三輪さんが書いた驚くべきオペラ「新しい時代」(2000年初演)をぜひ再演したい、と夢見ています。今回の公演ではそんな夢も視野に入れて、三輪さんの世界を紹介したいと思います。
伊東信宏(大阪大学教授、あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール音楽アドヴァイザー)
出演 | 三輪眞弘(講師:情報科学芸術大学院大学(IAMAS)教授) Orphe Choirs(合唱) |
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曲目 | ▼三輪眞弘: 言葉の影、またはアレルヤ |
座席 |
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料金
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一般 ¥3,000 →友の会価格 ¥2,700 学生 ¥1,000(限定数・電話予約可・当ホールのみのお取扱い) *各種クレジットカード利用可 |
主催 | あいおいニッセイ同和損害保険(株) あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール |
協賛 | 鹿島建設(株) |
問い合わせ先 | ザ・フェニックスホール チケットセンター 06-6363-7999 (平日10:00~17:00 / 土日祝 休業) |
備考 |
出演者について
三輪眞弘さんは、ルイジ・ルッソロ国際音楽コンクール第1位、芥川音楽賞受賞、そしてメディアアート界の最高峰、アルス・エレクトロニカのデジタルミュージック部門にてゴールデン・ニカ賞(グランプリ)を受賞するなど、現代音楽/メディアアート界の最重要人物の一人です。
三輪さんの音楽の特徴のひとつで、独自のアルゴリズムを使って作曲された曲があります。それらは、ともするとプログラミングされた無機質な音楽のように思われますが、楽曲に物語的な背景が組み込まれており、それが合わさることで独自の豊饒な音楽世界が拡がります。今回のレクチャーコンサートでは、このような手法を存分に取り入れ、20世紀末の混沌とした世界観をテーマに生み出されたモノローグオペラ「新しい時代」から、その断片、そしてヴァリエーションをメーンに紹介していきます。表現手法も多岐に渡っており、電子音楽を伴った独唱曲、マルチスピーカーを使用した楽曲、オペラの曲がアレンジされた純粋な合唱曲など、様々な音楽を堪能して頂けます。
中でも特筆すべきはフォルマント兄弟のパフォーマンスです。 MIDIアコーディオンを使って、リアルタイムで音声合成しながら演奏する(歌う)という他に類を見ない驚くべき作品です。You Tubeに映像がありますので、是非、検索してご覧になってください。今回は、ペルゴレージの名曲「スターバト・マーテル」をソプラノ歌手とチェンバロとの共演で演奏します。
三輪さんの作品は、常にシリアスとユーモアが同居し、聴く人の価値観を根底から揺さぶってきます。その揺さぶりこそが三輪作品の面白さであり、その独自性の高さはまさに“未知との遭遇”といえるものでしょう。
また、このコンサートはレクチャーコンサートですので、三輪さん本人に解説を行って頂く予定です。曲の背景はもちろんの事、作曲法や思考の足跡等、作曲家ならではの話が聴けるはずです。是非、音楽の最先端を存分にお楽しみください。
三輪眞弘(みわ・まさひろ/講師:情報科学芸術大学院大学(IAMAS)教授)
1958年東京生まれ。1974年都立国立高校入学以来友人と共に結成したロックバンドで音楽活動を始める。1978年渡独、国立ベルリン芸術大学で作曲をイサン・ユンに師事。1985年より国立ロベルト・シューマン音楽大学でギュンター・ベッカーに師事する。佐近田展康と共に「フォルマント兄弟」としての創作・思索・講演活動や、CDアルバム「村松ギヤ(春の祭典)」(2012)リリースなどその活動は多岐にわたる。著書に「コンピュータ・エイジの音楽理論」(1995)、さらに「三輪眞弘音楽藝術-全思考1998-2010」により2010年度第61回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。現在、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)教授。旧「方法主義」同人。
英国トリニティ音楽院大学院で古楽声楽を専攻、ディプロマを得て修了。ロンドン・日本でソロリサイタル、音楽祭などに出演。E・カークビ-、E・タブ各女史に師事。エラキドニーコンクール2位。中世・ルネサンス・バロック音楽(古楽)を中心に、アイルランドなどのケルト伝承音楽、日本・イギリス現代曲にも取り組む。“声と歌で五感を愉しみ、心が感じる音を奏でる『かたりおと』プロジェクト”を実施。演劇、朗読、絵画、アロマ(芳香浴)などと共に全国で展開。ラジオ、テレビ、コラム執筆、レクチャーコンサート、学会での実演などで、様々な「歌の世界」を紹介している。CD「やわらかな風に吹かれて」が「伝統的なケルトのエアー(歌)に新しい魂が吹き込まれ、心地よい透明感に癒される一枚」として好評を得る。アヴァロン音楽教室主宰。
岡野勇仁 (おかの・ゆうじん/MIDIアコーディオン)
東京音楽大学ピアノ科卒業。ピアノを田村宏、伊藤恵、藤井一興、草川宣雄、高橋アキ、斉藤雅広の各氏に師事。
リサイタルのほか、南米音楽演奏、美術家や詩人、ダンサーとの共演、紙芝居、フリーインプロヴィゼーション、クラブミュージックやエレクトロニクス、アートプロジェクト、日本やアジアの歌の演奏など類例をみない多彩な活動をおこなう。 「フォルマント兄弟」の作品「NEO 都都逸」「せんだいドドンパ節」をキーボード演奏で「夢のワルツ」をMIDI アコーディオン演奏で世界初演。フォルマント兄弟の合成音声歌唱作品をMIDIアコーディオンやMIDIキーボードで演奏している世界でも唯一の演奏家。フランス音楽コンクール第2位、第9回日本室内楽コンクール入選、現代音楽コンクール《競楽4》入選、尚美ミュージックカレッジ専門学校ピアノ学科専任講師。
フォルマント兄弟の長くまっすぐな道