カルテット・スピリタスに聴く
掲載日:2008年5月28日
2008年度の「ティータイムコンサートシリーズ」が6月6日、スタートする。年間6回、金曜午後2時から4時、気鋭の若手から海外の大御所まで、文字通りの一流アーティストの演奏をお気軽に楽しんでいただく人気のコンサート。年度初回を飾るのは、エネルギッシュなサクソフォン奏者4人でつくる「カルテット・スピリタス」。クラシックからジャズ、ポップスまで幅広いジャンルをレパートリーに誇り、近年、急速に注目を集める話題のアンサンブル。その名の通り、エスプリあふれる軽快な演奏が楽しみだ。珍しいサクソフォンによるカルテットに取り組む醍醐味や、公演への抱負を4人にアンケート形式で伺った。さてメンバーのハーモニーやいかに…。
お尋ねしました
■1 ご自身の音楽生活の中で、「カルテット・スピリタス」はどういう位置づけにありますか。
■2 このアンサンブルで演奏するに際して、他にない楽しさと苦労を、それぞれ教えてください。
■3 このアンサンブルで実現してみたい夢は何でしょうか。
■4 大阪の聴衆に、どんな部分を聞いてほしいですか。
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松原孝政(ソプラノサクソフォン) お互いの特性熟知
■1 カルテット・スピリタスでは、サクソフォン四重奏のために書かれたオリジナル曲を演奏することが多くありますが、他のアンサンブルではそれほど多くはありません。やはりサクソフォンの根源に帰った曲を演奏できるのは僕にとって大きな意味を持っています。
■2 サクソフォンという一つの楽器を全員が演奏する形態にあり、この楽器の素晴らしさが最大限に活かせること。また、同じ楽器であるがゆえに、テクニックの面でもお互いのことが手に取るように理解できるのも良い点です。その半面、ピアノや弦楽器などのために書かれた曲を演奏する場合には、サクソフォンだけでは表現が難しく、苦労することもあります。
■3 ズバリ『世界進出!』でしょうか。まだまだ、メジャーとはいえないクラシック界のサクソフォンを、日本中に広めていくのが当面の目標ですが、ゆくゆくはもっと多く、世界中の人にスピリタスを聴いてもらいたいという思いがあります。
■4 スピリタス結成一年目に大阪国際室内楽コンクールで演奏し、あの時は悔しい思いもしましたが、またこうして大阪で演奏する機会をいただき、メンバー一同、気合充分で今回に臨んでいます。結成5年目を迎え、進化したカルテット・スピリタスを存分に楽しんでいただきたいと思います。
波多江史朗(アルトサクソフォン) 「音の会話」聴いて
■1 家族であり、兄弟のようであり、また会社でもあります。音楽活動や、私生活においても欠かせないグループです。創作意欲も満足させてくれます。
■2 この4人で、曲をひとつの音楽に作り上げるプロセスが苦労でもあり、同時に楽しいことでもあります。自分自身、客観的にこのカルテットの音楽を聞いてみて、好きになれるのも良いですね。
■3 「後期高齢者」になるまで、4人で吹き続けることです。
■4 「音による会話」を楽しんで聴いていただけると嬉しいですね。サクソフォン四重奏ならではの、迫力あるサウンドと繊細な響きのコントラストをお楽しみください。
松井宏幸(テナーサクソフォン) 時間懸け試行錯誤
■1 現在、いろいろな活動をする中で、どれが主軸でどれが主軸でないか、といった区別は特にありません。スピリタス以外の場所で経験した音楽をスピリタスで活かし、更に良い音楽を生み出すことが出来ますし、その逆もあります。一つの場所でじっくり音楽を考えることも必要だと思いますが、僕自身はまだまだ、沢山の音楽を経験し、学ぶことが大切だと考えています。
■2 楽しさは、目指す音楽を話し合い、時には喧嘩もして、時間を掛けて試行錯誤が出来ること。苦労は、リハーサルのための4人のスケジュールの調整を図ること。
■3 ソニー・ロリンズのように、何歳になっても毎年4人そろってコンサートを開きたいですね。目指すは平均年齢80歳のカルテット・スピリタス。
■4 今回のプログラムは、前半にピアノ曲とオーケストラのレパートリーを持ってきました。同時にあまりたくさんの音を鳴らせない「カルテット」という編成は、作曲やアレンジの際に厳選された4つの音で成り立っています。そうした限られた音によって、ピアノの重厚な和音やオーケストラの色彩豊かなサウンドを表現するのは、とても大変なことです。しかし、サクソフォンカルテットという演奏形態を通じ、そこに立ち向かう僕らの姿を、是非見ていただきたいと思います。大阪で演奏出来ることを、とても幸せに感じています。
東 涼太(バリトンサクソフォン) 将来は海外公演を
■1 もちろん、とても大切にしているグループです。四重奏という形態の持つ魅力を、良いメンバーと一緒に楽しみながら、刺激し合いながら引き出し、伝える。新しいことをやるというよりは、クラシック音楽の古典的なスタイルでの室内楽を探求できるというところに魅力を感じてます。
■2 これはどこのグループにも当てはまるのですが、そのメンバーでしか出せない音というのがもちろんあって、それは、ひとり入れ替わっても違ってしまう。そんな音を作っていく過程や、出していると感じられる瞬間は、もう他にない楽しさですね。苦労は、楽器が重いことくらいですかね(笑)。
■3 あまり具体的には浮かびませんが…。このグループではこれまで国内でしか演奏したことがないですので、いつかは海外公演もやってみたいですね。でも、いつまでも議論し合いながら良い演奏ができたら、それが一番です。
■4 スピリタスの音、音楽を感じてもらって、少しでも好きになって頂けたら嬉しいです。サクソフォンを好きな人に限らず、いろんな方にぜひ聴いてほしいですね。
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公演情報
[プログラム]
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