Prime Interview ソフィー・デルヴォー
世界最高峰のオーケストラが認めたファゴットの女神(ミューズ)、ザ・フェニックスホールに初登場!
掲載日:2019年3月6日
ソフィー・デルヴォーさんは、21歳の時にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団に入団、24歳の時にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席ファゴット奏者に就任しました。20代前半で世界最高峰のオーケストラに2つも合格し、首席を任されるという驚くべき才能の持ち主。現在はオーケストラでの活動のほか、室内楽での演奏やマスタークラスで後進の指導を行うなど、多方面で活躍中です。
ファゴットはオーボエと同じダブルリードの木管楽器で、その音色が非常に特徴的です。主に中低音域を担当しますが、音の立ち上がりが速いこともあり、ソロパートを演奏することも多い楽器です。ソロが印象的な曲として、例えばストラヴィンスキー「春の祭典」の冒頭、リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」の第2楽章、そしてラヴェル「ボレロ」などがあり、ファゴットの音色が楽曲の中で存分に活かされています。
本リサイタルは、ファゴットのためのソナタを軸に、オーボエやチェロの曲を加え、ファゴットの魅力を存分に味わえる内容となっています。
インタビューでは、ソフィー・デルヴォーさんにファゴットの魅力、そしてプログラムの聴きどころなどを伺いました。
(構成・編集:宮地泰史/あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール)
ファゴットの魅力は
何と言っても「音色」だと思います
――ファゴットを演奏するようになったきっかけは?
私が音楽に触れた始まりは、母が教えてくれたクラシックギターからでした。私はギターが大好きで夢中になって練習しました。この時バッハなど、音楽の基礎になるようなバロック作品に触れられたのはとても良かったと思っています。そのうち、一人だけで演奏が完結するのではなく、他の楽器と共演できるような楽器を演奏してみたいと思うようになりました。ファゴットを演奏することを初めから決めていた訳ではなかったのですが、最終的にファゴットという楽器を選びました。12歳の頃の事です。
――ソフィー・デルヴォーさんにとってファゴットの魅力とは?
ファゴットの魅力は何と言っても「音色」だと思います。この独特の音色は他にはありません!楽器の特徴のことを少しお話すると、ファゴットは「薪束」という意味で、その名の通り、2つの管をジョイントして作られています。オーボエと同じくダブルリードの楽器であり、倍音がとても豊かに響きます。柔らかく暖かな音色で、主に中低域を演奏しますが、フレキシブルな演奏が可能なことからメロディや、ソロパートを演奏することも多いです。
――ソフィー・デルヴォーさんは、2013年にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団に入団、2015年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団に入団と、二つも世界最高峰の楽団に入団されましたが、二つの楽団で違いはありますか?
ご存じの通りベルリン・フィルとウィーン・フィルはともに、技術と音楽性の面において世界でもっとも優れているオーケストラであり、どちらも最高の演奏レベルを常に保っています。
ウィーン・フィルの運営に関して少しお話すると、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は、ウィーン国立歌劇場管弦楽団の中から選ばれたメンバーで構成されていています。ウィーン・フィルの目的のひとつに、独自のウィーン・サウンドを継承、保存していくという使命があり、他の楽団と比べて厳密な決まり事があります。例えば、金管楽器や打楽器などで独自の楽器を使用したり、弦楽器はコンサートマスターを除き、全てオトマール・ラング工房で製作されたものが用いられています。こうしたことから独自のウィーン・フィル・サウンドが産み出されます。
――何度か来日されていると思いますが、日本について何か印象に残っている事はありますか?また、日本文化に興味はありますか?あるとすれば具体的に教えてください。
私は日本文化が大好きです!日本は素晴らしい伝統と歴史を持つ国です。何度か来日しましたが、印象深いのは日本の皆さんの親切さです。そして、全てのことが完璧に計画され、準備され、そして整理されていることにもとても感動しました。
そして何より食文化!わたしは日本食が大好きです!
――プログラムについての質問です。サン=サーンスのファゴットソナタは重要なレパートリーの一つだと思いますが、ソフィーさんにとってこの曲の魅力とは。
サン=サーンスのファゴットソナタは私のお気に入りの作品です。ファゴットの特性、テクニックや音楽性などを十分理解した上で作曲されています。また、この作品は情熱的で、魅力的で、技巧的で・・・全てが詰まった作品です。どうぞご期待ください。
――ベートーヴェンのチェロソナタを演奏されますが、弦楽器であるチェロの曲をファゴットで演奏する際、どのような違いがありますか?またどのような工夫をして演奏されていますか?
この作品は、私にとって特別な作品です。この作品を初めて演奏したのは2014年にベートーヴェン・リング賞を受賞した音楽祭の時でした。ベートーヴェンは偉大な作曲家で、この作品は間違いなく傑作です。もちろん、彼はファゴットのために作曲したわけではありません。また、チェロとファゴットの音色にも違いがあります。しかし、この作品の音楽の核(コア)のようなものはひとつであり、ファゴットでこの作品を演奏する事は、それを表現するための一つの手段だと思います。
――ピアノの沢木良子さんとも日本デビューコンサート以来、何度か共演されています。沢木さんのピアノの魅力を教えてください。
沢木良子さんは、卓越したピアニストです!彼女は、完璧に音楽を理解し、私がどう演奏したいかを瞬時に理解してくれます。来日の度に一緒に演奏できるのは、この上ない喜びです。そして、フランス語でコミュニケーションがとれるのは、とても有り難いことです!
――最後にお客様にメッセージを。
親愛なる日本の聴衆の皆様。皆様は、私にとっていつも特別な存在です!日本で演奏するように、いつも楽しく演奏できる国は殆どありません。
ファゴットは、ソロで頻繁に聴くことの出来ない楽器です。この機会に、是非私達と一緒にファゴットの魅力に触れて頂けたら嬉しいです!
Profile
ソフィー・デルヴォー(Sophie Dervaux /ファゴット)
1991年フランス生まれ。ギターとクラリネットを学んだ後、2003年からファゴットを始めた。リヨン国立高等音楽院を卒業後、ベルリン・フィルのカラヤン・アカデミーでダニエル・ダミアーノに師事。2012年にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のソロ・コントラファゴット奏者に就任。2015年からはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団およびウィーン国立歌劇場管弦楽団の首席ファゴット奏者に就任。2013年ミュンヘン国際音楽コンクールで第2位(1位該当無し)を受賞するほか、クルーセル国際コンクール、第1回ムリ国際コンクール、国際アウディ・モーツァルト・コンクール、国際アカデミーオーボエ・ファゴットコンクール、国際ダブルリード協会フェルナン・ジレ=ヒューゴ・フォックス コンクール、若きアーティストのためのコンクールなどでも入賞。2015年ボンでベートーヴェン・リング・アワードも受賞した。ソリストとしては、バイエルン放送交響楽団、ミュンヘン室内管弦楽団、ミュンヘン放送管弦楽団、南西ドイツ・フィルハーモニー交響楽団、シュトゥットガルト放送交響楽団などと共演する。
公演情報
ソフィー・デルヴォー ファゴットリサイタル
2019年6月14日(金) 午後2時開演
[入場料] (指定席)
一般:3,500円 友の会:3,150円
学生:1,000円(限定数。ザ・フェニックスホールチケットセンターのみお取り扱い)
※お茶お菓子サービス付
[プログラム]
シューマン:3つのロマンス
メンデルスゾーン:無言歌 ニ長調 作品109
ベートーヴェン:チェロソナタ 第2番 ト短調 作品5-2
ケクラン:ファゴットソナタ 作品71
サン=サーンス:ファゴットソナタ 作品168
(予定)
チケットのお問合せ・お申し込みは
あいおいニッセイ同和損保
ザ・フェニックスホールチケットセンター
TEL 06-6363-7999
(土・日・祝日を除く平日の10時~17時)