中村功さん インタビュー

体で感じる打楽器の魅力 新企画パーカッション・トゥデイ 9月に始動

掲載日:2010年7月26日

percussion today rogo
 
 
中村 功

民族音楽から現代音楽まで

 
 皆様、こんにちは!中村功です。今年から毎年1回、皆様にお会いでき、打楽器の魅力をご紹介出来ます事、大変嬉しく、楽しみにしております。
 打楽器は、古代から人々が喜びや悲しみを分かち合ったり、信号や合図の役目に使われたりと、人間の生活になくてはならない存在でした。世界中、どの国を見ても、打楽器がその地方の民族音楽や文化の中で、最も重要な役割を果たしています。
 打楽器を叩いたことがある人もない人も、私たちの演奏会、ワークショップを通じて、体でリズムを感じ、何百種類とある打楽器の響きを、見て聞いて、少しでも生活の中の楽しい存在にして頂けたら嬉しいです。バッハからサンバ、民族音楽から現代音楽に至るまでの様々なレパートリーを、皆様と一緒に楽しんでいきたいと思っています。
 さて、第1回目、今年9月の演奏会ですが、「リズムー見る、聞く、話す」とありますように、アメリカ、フランス、ベルギー、ドイツ、ポルトガル、日本の作曲家たちの色々な方向、ジャンルの曲をお送り致します。
 「見る」曲では、ベルギー人のティエリー・ディ・メイの「机の音楽」。3人の奏者が机の前に座り、各自が机の上を手話のような動きをしながら、擦ったり、弾いたり、叩いたり、コレオグラフィー(振付)も楽しい曲です。フランス人、セジュルネの「火をお持ちですか?」は、4人の奏者が手元の小さな光を明滅させて、演奏するという趣向で、詳細は、演奏会当日のお楽しみ!!!ということにします。
 
今の音楽→居間の音楽?
 
 ポルトガル人、リタ・トレスの「SMPG」は、昨年出来あがったホッカホカの曲で、私が学生たちと世界初演しました。今回は日本初演になります。アメリカのジョン・ケージの「居間の音楽」では、居間に普通にあるもの(机、椅子、本、床など)を使い、通常の打楽器は一切使いません。2楽章はそれぞれの奏者がしゃべる言葉が音楽になり、3楽章では唯一1人の奏者がメロディー楽器を使用するという、ミュージックシアター的な要素のある曲です。
 日本の西村朗(大阪出身)作曲の「ケチャ」はバリ島の民族音楽ケチャをもとに6人の打楽器奏者の為に書かれた曲で、そのうちの4人の奏者が、口で刻むリズムをマイクを通して、打楽器と共に演奏します。ドイツ人、フーバーの「クラッシュミュージック」は、各奏者が小さなシンバルを持ち、そのシンバルだけでアンサンブルをするという曲。シンバルから多様な音色が飛び出します。
 阿倍野区出身の徳山美奈子作曲「ゴールに向かって」は、日本打楽器協会の委嘱で作曲され、少年たちが泥だらけで、ボールを追って走っている姿を応援するかのような作品です。私が作曲したサンバ・バトゥカーダ(打楽器だけのアンサンブルの意)は、ケルン・フィルハーモニーの開館記念コンサートの為に作った曲で、各奏者のソロの部分もある、ブラジルの楽しい、ど「サンバ」です!
 
体験ワークショップも
 
 これだけの、様々な方向の音楽、時代を隔てた音楽を皆様にご紹介出来ること、本当に楽しみです。演奏会当日に行われるワークショップにも時間に余裕がある方は、是非お越し下さい。演奏会では、曲と曲の間に私のトークもありますので、そちらのほうも楽しみに来て頂けたら嬉しいです。
 来年、2011年には、打楽器アンサンブルの為に書かれた世界最初の曲、ヴァーレーズ作曲の「イオニゼーション」と、大阪生まれの今や若手のホープ、イギリス在住の藤倉大の「ファントム・パルス」を中心に(2曲とも12人、13人の為に書かれた大編成の曲)、ラグタイムや「中村功と仲間たち」の為に書き下ろされる世界初演曲等を予定しています。 
 
 
 

 

◆プロフィル

なかむら・いさお
ドイツを中心に活躍する、ヨーロッパで最も信頼と評価の高い打楽器奏者。1958年大阪生まれ。81年東京芸術大学、89年フライブルク国立音楽大学卒業。86年、ダルムシュタットでクラーニッヒシュタイナー音楽賞、92年度青山音楽賞特別賞、2004年イシハラホール公演「三井の晩鐘」で第4回佐治敬三賞受賞。これまでに、シュトックハウゼンMichaels Reise um die Erde ソリスト編(1986)、ノーノRisonanze Erranti(1986)など多くの作品を初演している。シュトックハウゼン、ケージ、カーゲルや、ケルン放送響など各地の名門オーケストラと共演。また、「ベルリン音楽週間」やザルツブルク音楽祭など数多くの音楽祭でも演奏を重ねる。2010年5月には、大野和士指揮東京都交響楽団と細川俊夫の打楽器協奏曲「旅人」をサントリーホールで共演した。2006年Isao Nakamura Ensembleを結成。92年よりカールスルーエ国立音楽大学教授。
 
 
  • 9月25日(土)18:00開演 パーカッション・トゥデイ 〈中村功と仲間たちvol.1〉「リズム―見る・聴く・話す」のご案内はこちら♪
  • 【参加申込受付中】9月25日(土)14:45開始 パーカッション・トゥデイ<中村功と仲間たち>関連プロジェクト 「ドン・ガシャ・チリーン」 小学生からの、打楽器体験ワークショップのご案内はこちら♪