バイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテットメンバーインタビュー
2009年10月14日開催 ホール協賛公演 「バイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテット」
掲載日:2009年9月28日
“バイロイトのイチロー” メンバーの眞峰紀一郎さん語る
「バイロイト祝祭」。楽劇で有名な作曲家ヴァーグナーの作品上演で知られる夏の音楽祭です。開催地はドイツ・バイエルン州の都市バイロイト。創設は1876年。彼が自作を演奏するため建立した劇場に、世界のファンが押し寄せます。その舞台を支える「祝祭管弦楽団」団員による「バイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテット」が10月14日(水)、ザ・フェニックスホールで公演を開催します(主催:KAJIMOTO 協賛:ニッセイ同和損保、ザ・フェニックスホール)。古参の日本人メンバーで祝祭に30回以上出演している「バイロイトのイチロー」、眞峰紀一郎さん(元ベルリン・オペラ管弦楽団)からお手紙を頂きました。
(構成 ザ・フェニックスホール)
――結成のきっかけは。
私たちのクァルテットは、ヴァイオリン4本で編成されています。弦のクァルテットというと通常、ヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロで編成される弦楽四重奏団ですが、それとは異なります。メンバーは皆、ドイツ国内で確固たるポジションを持つ、経験豊かな素晴らしい音楽家です。皆、この祝祭の管弦楽団に度々参加しており、第一ヴァイオリンパートの中核メンバーでもあります。私は自身、もう31回もバイロイトで夏を過ごしてきました。4人は年齢もあまり違わず、人間的、音楽的にも気が合うので3年前の2005年夏、皆で「アンサンブルをしよう」ということになり、「今までやったことの無い、変わった編成で」と発足しました。以来、毎夏バイロイトと近郊で公演し、好評を得ています。
――今回のプログラムについて。
プログラムは、8曲から成ります。オリジナル・編曲ともやります。テレマンの「4つのヴァイオリンの協奏曲」は、この編成の作品では最もポピュラー。3曲ある中から今回「ト長調」を演奏します。ヴィヴァルディの「4つのヴァイオリンの協奏曲」は、バッハが4台のチェンバロ向けに編曲したことでも知られます。仲間のゲルハルト・ロイター君が、私たちのために昨年、編曲してくれました。通奏低音やオーケストラのトゥッティ(総奏)のパートも、巧みに分担されています。「魔笛」は,モーツアルトが亡くなった翌年1792年、当時の作曲家が匿名で、2本のヴァイオリンまたは2本のフルート向けに編曲した作品を基に1998年、2人の日本人を含む4人のチームが新たにアレンジしました。9曲のアリアから成り立っていて、そこから有名な「夜の女王の怒りのアリア」や、パパゲーノとパパゲーナが歌う「パ・パ・パ」など6曲を選びました。
――このアンサンブルのために作られた曲もあるそうですね。
アンサンブルはバイロイト祝祭での出会いを機に生まれたので、ヴァーグナーにちなむ作品を、現代の著名な作曲家にお願いしました。クプコヴィッチとキルヒナーの作品です。クプコヴィッチの「ローエングリュン・ヴァリエーション」は、ヴァーグナーの「ローエングリン」の旋律をテーマとした明るく、機知に富んだ楽しい曲。対照的にキルヒナーの作品は「トリスタンとイゾルデ」の半音階を用い、ヴェニスで没したヴァーグナーを偲ぶ、静かで落ち着いたエレジーです。
――では、来る日本公演に向けてのメッセージをお願いします。
9月27日にもう一度、バイロイト近郊で公演を開き、10月6日はブリュッセルで弾いて、8日にいよいよ、日本に飛びます。日本ではコンサートのほか、子供たちや音楽学生にもレッスンをします。ヴァイオリン4本だけでも、こんなに楽しいアンサンブルが出来るという楽しさをお伝えできることを切望しています。皆さんにお会いできるのを、楽しみにしています。
■プログラム ヴィヴァルディ:4つのヴァイオリンのための協奏曲ト長調 |
■公演情報
バイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテット」は10月14日(水)午後7時開演。演奏曲は上記の表の通り。入場料6,000円(指定席)、友の会価格は5,000円(お一人様6枚まで)。
ザ・フェニックスホールチケットセンター(電話06・6363・7999 土・日・祝日を除く平日午前10時-午後5時)へどうぞ。
また、チケットぴあ、ローソン、イープラスでも取り扱い中。