ピアニスト 藤井快哉(ふじい・よしき)さんインタビュー
掲載日:2003年8月27日
神戸在住のピアニスト藤井快哉(よしき)さん(31)=写真=が2003年 8月27日夜、ドイツ在住のヴァイオリニスト鈴木麻里さん(エッセン・フィルハーモニカー フォアシュピーラー)とザ・フェニックスホールで共演する。公演企画を公募、審査を経て選ばれた音楽家・グループにホールを無料提供する「フェニックス・エヴォリューションシリーズ」の第30回公演で、「歌と踊り ヴァイオリンとピアノの可能性」をテーマに、ストラヴィンスキーやラヴェル、R・シュトラウスなどの作品を取り上げる。「作曲家の血に流れる民族性を象徴する、個性豊かな歌や踊りを楽しんでほしい」と意欲を燃やしている。
藤井さんは兵庫県出身。大阪音大で学んだ。一方、鈴木さんはミュンヘン近郊に生まれ、同地の音楽大学出身。そんな二人が出会ったのは1997年、留学先のアメリカ・インディアナ大学で。共通の友人の紹介でデュオを組むようになり、「自然さを重んじる音楽性にお互い共感し」、意気投合。それぞれの修了試験をはじめとする学内公演やイタリアのコンクール出場など、藤井さんが帰国した一年の中断期間を挟みながら長く共演を続けてきた。
昨年秋には鈴木さんの住むバイエルン州の町で二度、リサイタルを経験。「学生時代から繰り返し同じ作品に取り組む中で徐々に無駄なものが取れ、”核心”が見えてきた」と話す。特にR・シュトラウスの≪ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 変ホ長調作品18≫はお互い気に入って何度も取り上げてきた。鈴木さんにとっては故郷ミュンヘンが生んだ偉大な作曲家の作品だけに、特別な思い入れがあるそうだ。
インディアナ大学で藤井さんは練木繁夫氏に師事。名チェリストのヤーノシュ・シュタルケルヴァイオリニストのフランコ・グッリらにも教えを受けた。一方の鈴木さんも同大学でミリアム・フリード(ヴァイオリン)に師事。終了後もザルツブルク・モーツァルテウム音楽院、独フライブルク音大でもさらに学んだ国際音楽祭やコンクールなどでもキャリアを積んでいる二人。鈴木さんにとっては祖国・日本でのデビューとなるだけに、受け入れ役の藤井さんは「少しでも多くの方に聴いていただき、デュオとして日本で活動を広げていくきっかけにしたい」と話している。