公演終了

主催公演

レクチャーコンサート

「映画は音楽に嫉妬する vol.5」 伊東信宏 企画・構成 小沼純一と聴く「珈琲時光」

2013 6/15()

16:00開演

蘇る、台湾の調べ。一青窈主演の佳品に探る、豊穣のサウンドスケープ。

映画のなかには、ひとの声、音楽、そしてそのどちらでもない音がひびいています。スクリーンに映しだされている映像がすべて作品を構成し、読みとられる要素でありうるのと同様、音もすべて作品のなかにあります。映画『珈琲時光』は、台湾出身でありつつ日本で活躍した作曲家江文也(1910-1983)の足跡を探る女性を中心にし、同時にこの女性の友人は東京都内の電車の音を録音するのを一種の趣味としています。この映画ではスクリーン外からひびく江文也の音楽と、東京都内のいろいろな場所の音、あるいは女性の実家のある町の音など、環境と結びついた音、その場その場のサウンドスケープを聴きとることができます。映画とは、こうしたサウンドスケープを擬似的に体験する、「音を聴く」体験でもあります。今回は映画における音の体験を、あまり多く演奏されるとはいえない江文也の作品とともに体験していただきたいと考えています。(小沼純一)

出演

講師 小沼純一(早稲田大学文学学術院教授)
演奏 榎本玲奈(ピアノ)通崎睦美(木琴)

曲目

江文也:台湾の舞曲、スケッチ五曲、バガテル より抜粋
木琴とピアノのための「祭りばやしの主題による狂詩曲」(予定)

料金
公演終了

一般 ¥3,000 →友の会価格 ¥2,700

学生 ¥1,000(限定数・電話予約可・当ホールのみのお取り扱い)

<各種クレジットカード利用可>

主催 あいおいニッセイ同和損害保険(株) 
あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール
協賛 鹿島建設(株)
助成 公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団
問い合わせ先 ザ・フェニックスホール チケットセンター
備考

シリーズ「映画は音楽に嫉妬する」vol.5
あんなに夢中になって観た映画なのに、映画館を出てくるとテーマ音楽しか思い出せない、というようなことはありませんか。映像は音楽を求め、ある種の音楽は映像を喚起してきました。このシリーズでは、音楽と映画のこのただならぬ関係を、一番ホットな講師に存分に語ってもらい、そしてその鍵になる音楽を最も相応しい演奏で聴き、そして映画自体も観ることができる、という贅沢な企画です。
企画・構成 伊東信宏(大阪大学教授=音楽学)
映画「珈琲時」 レクチャーコンサート終了後に全編上映
レクチャーコンサート終演後、「珈琲時光」の全編上映をご鑑賞いただけます。(約100分)

※映画「珈琲時光」は入場無料。コンサートチケットをお買い求めの方のみ、ご覧になれます。

映画「珈琲時光(こーひーじこう)」
フリーライター陽子(一青窈)は、台湾出身の作曲家江文也の音楽について調べている。彼女と親しい古書店主・肇(浅野忠信)は電車の音を録音するのが趣味。陽子は台湾取材の土産を彼に届け、交歓を深める。ある日、陽子は郷里の高崎に戻り、両親に会うが、そこで思わぬ体調変化に気付く。そのことを告げられた肇は、動揺するが-。侯孝賢(ホウ・シャオシェン)=台湾=監督 2003年 松竹配給。


(C)2003 松竹株式会社朝日新聞社住友商事衛星劇場IMAGICA

 

出演者について

小沼純一(こぬま・じゅんいち/講師) 1959年東京生まれ。文芸・音楽批評。音楽文化論。早稲田大学文学学術院教授。著書に『武満徹 音・ことば・イメージ』『魅せられた身体 旅する音楽家コリン・マクフィーとその時代』『ミニマル・ミュージック その展開と思考』(以上青土社)、『オーケストラ再入門 シンフォニーから雅楽、ガムラン、YMOまで』『サウンド・エシックス これからの「音楽文化論」入門』(平凡社新書)、『無伴奏 イザイ、バッハ、そしてフィドルの記憶へ』(アルテスパブリッシング)ほか多数。新著として、2013年3月に『映画に耳を』(DU Books)を刊行。翻訳にデュラス『廊下で座っているおとこ』(書肆山田)、シオン『映画の音楽』(共同監訳/みすず書房)ほか。また、坂本龍一総合監修による音楽全集「schola(スコラ)」シリーズの選曲・執筆に携わっている。第8回出光音楽賞(学術研究部門)受賞。
(C)瀬戸正人

榎本玲奈(えのもと・れいな) 兵庫県立西宮高校音楽科を経て、沖縄県立芸術大学音楽学部を西銘賞を得て首席で卒業。大学在学中、ルーマニア国際音楽コンクールグランプリとショパンマガジン賞受賞、同国でデビュー。日本クラシック音楽コンクール全国大会入選、大阪国際音楽コンクール第3位、2010アジア国際音楽コンクール第1位など多くのコンクールで優勝・受賞。08年から東京を拠点に全国で演奏。クラシックからコンテンポラリーまで幅広いレパートリーでソロ、アンサンブルに活動。ジャンルを超えた音楽やダンス、アートとのコラボレーションに意欲的に取り組む。オムニバスCD「Traveling~記憶に残る情景~」(ピアノで参加)リリース。ピアノを竹内素子、青井彰、糸数ひとみ、朴久玲の各氏に師事。E・エリアス、A・ピクル、D・コレヴァー、M・ヴォスクレセンスキー各氏のレッスン受講。作曲家・ピアニストの高橋悠治氏を敬愛、私淑。12年、同氏の新作をソプラノ肥後幹子氏と初演した。

通崎睦美(つうざき・むつみ)
京都市生まれ。5歳よりマリンバを始める。京都市立芸術大学大学院修了。1991年のデビューコンサート以降、自身でコンサートをプロデュースし、毎回新しい試みに取り組み、常に作曲や編曲の委嘱を活発に行い、独自のレパートリーを開拓。また、木琴の巨匠故平岡養一氏の木琴と500曲以上にのぼる楽譜やマレットを譲り受け、木琴奏者としても活躍。一方、アンティーク着物の収集家としても知られ、コレクションやライフスタイルが様々なメディアで紹介される。2007年12月にはテレビ朝日「徹子の部屋」に出演。著書も多数。
http://tsuuzakimutsumi.com/